先使用権とは?
他社特許に対抗できる防御の制度
他社から「特許を侵害している」と言われたとき、
事業は止まってしまうのでしょうか。
一定の条件のもとで、出願前から実施していた事業は継続できます。
これが、いわゆる「先使用権」と呼ばれる防御の制度です。
先使用権は「攻めの権利」ではありません。
他社特許に対抗するための、防御の根拠です。
どの程度の強さの権利か
- ✔ 事業は原則として継続できます
- ✔ 実施料を支払う義務はありません
- ✔ ただし守られるのは出願時点の事業範囲内
- ✖ 相手の特許を無効にする制度ではありません
※なお、別途無効理由が存在する場合は、無効の主張を検討することもあります。
防御としては強い制度ですが、「条件」と「証拠」が前提になります。
実務で重要になるポイント
1. 出願より前から実施していること
相手の特許出願より前に、日本国内で実施していた、 または実施の準備が客観的に進んでいたこと。
2. 独立に開発していること
相手の技術を知って真似した場合は認められません。
3. 証拠があること
図面、仕様書、試作記録、発注書、メール履歴など、 日付の連続性がある資料が重要になります。
出願しない判断との関係
先使用権は、「出願しなかったから守られる」という制度ではありません。
実施していた事実と証拠があるからこそ、防御できる制度です。
出願しないという判断をする場合も、
防御の準備をしているかどうかが経営判断になります。
先使用権は、紛争になってから考える制度ではありません。
平時の証拠整備が、将来の防御になります。